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古着

 小学校高学年の頃にファッションに目覚めた私は、歳を重ねるにつれて人と被りたくな いという思いを持つようになった。きっかけとなったのは私服登校だった女子高時代で、 ファッションに気を遣う友人が多い中でいかに自分らしさを表現できるか、ということが 重要になった。そこで出会ったのが古着である。

 私が古着に惹かれる理由は様々であるが、何よりもそれが世界に一つ

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しか存在しないものである、という点が大きい。古着を纏うと自信が持てた。スーツや制服のように誰かと同じ格好をしている時よりも、自分らしくいられるような気がしてた。全身古着でなくても、コーディネートにひとつ古着を合わせるだけでその服装は私だけのもの、私にしかできないものになる。​いつしか、「人と被らずに自分らしくいたい」という気持ちは、服装だけでなく人生の 選択をする上でも私の指標になっていたように思う。通っていた高校は大学附属で、仲の良かった友人は全員エスカレーター式で大学に進んだが、私は外部受験という選択をした。不安な気持ちよりも、自分らしい選択をした自分が少し誇らしかった。私にとって古着を纏うことは自分らしさの象徴であるし、自分の人生の指針を形成している要素だと言える。
 皆さんはどんな自分が最も「自分らしい」と感じるだろうか。自分の日常を構成する要素を探してみると、自分がこれまで大切にしてきたこと、またこれからも大切にしたいこと が見えてくるのではないだろうかと思う。

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