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カチューシャ

 高校1年の頃、初めてディズニーでカチューシャを買った。それまではあまり被り物をしたいと思うことはなかったが、友人がみんなで揃えようと言うので買ってみた。

 実際につけてみると、不思議と気分が上がった。非日常の世界に自分が入り込んだ感覚になった。自然と、友人と撮る写真も増えた。それまでの私にとって、ディズニーランドはただアトラクションを楽しむだけの場所であったが、カチューシャを買って以来、そこの雰囲気

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・世界観を楽しめるようになっていった。

 このような体験を経て、ディズニーランドだけでなく音楽や映像作品など他の芸術に触れた際も、「作者はどうしてこのような作品を作ったのだろう」「どんなストーリーをもとに作られたのだろう」といった、外に現れたものだけでなく奥の方にあるものを見つけようと試みることが増えた。作品の世界観を捉えようとすることでこれまでの何倍も楽しめてる気がした。

 当時の自分の中で、音楽や絵画など抽象的なアートを楽しむことは大人の嗜みという印象であったが、表面だけでなく背景を楽しもうとした上記の経験から、この大人の嗜みをほんの少し理解できた気がした。友人に勧められて何気なく取った行動のおかげで私は新しい世界との出会いを得られたのだ。

 芸術を楽しみたいという思いは誰しも持ったことがあるだろう。日常の何気ない瞬間にそのヒントは隠れているのかもしれない。

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