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雰囲気を飾る

 中学生の頃まで、気が強いと思われがちなところがあった。ハキハキしていたり、あまり臆することなく自分の意見を表明する性格だったので、気が強いというイメージを持たれがちだったのかもしれない。一貫校で、小学校から内部進学した「内部生」であるということも関係していたと思う(内部生は一般的に、進学してしばらくは外部生から「怖い」というイメージを持たれがちなのである)。しかし私は、自分の意に反し

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て気が強いと思われるのはいやだなあと思いつつも、自分が周りからどう見られているのか、どのように振る舞ったら良いのか、ということはあまり深く意識できていなかった。

 高校に入ってから、転機が訪れた。社会科系の授業内でディベートを行ったとき、担当の先生がおっしゃった「賛成意見の人も、反対意見の人も、全員が話しやすい場を作ることを意識しなさい」という言葉に影響を受けた。先生が繰り返し言うその言葉を意識するようになってから、自分とは違う立場の人の意見も否定せず、まずは肯定から入るようにして自分の意見を述べたり、議論の最中には必ず笑顔でいることを心がけたり、オーバーリアクションだと思われるほどの頷きを心がけたりして、全員が話しやすい雰囲気を作るホスピタリティを意識するようになった。すると、自分の発言によってピリついた議論が和んだり、あなたがいると話しやすいと言ってもらえるようになった。
 また、毎回の授業でこのようなことを意識したことで、日常生活でも無意識に、和やかな雰囲気をまとえるようになった。自分自身、穏やかになったと思う。いつのまにか、「気が強い」と思われがちだった私が「ほんわかした雰囲気」と言われるようになった。

 では、今の私の雰囲気はどんなものだろう。大学に入り、チアリーディング部に入部した。いつしか最上級生になり、主将になった。総勢45名の部活である。穏やかなだけでは、主将は務まらない。時に厳しいことを言わなければならないし、自分自身が一番強くなければならない。部を和ませる穏やかさと、部を律する厳しさを併せ持つように意識するようになった。すると今までの「ほんわか」したイメージだけでなく、芯があって凛としていると言われるようになった。

 誰しも、年齢や置かれている立場など、様々な環境の違いによって、身に纏いたい雰囲気・纏うべき雰囲気は変化する。雰囲気やイメージ、「人から見られる自分」は、自分の心がけによって磨いていくことができる。「雰囲気」を意識することは、これまでの自分を省みること、またこれからの自分を形作っていく上で大きな経験になるかもしれない。

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